(未経験者向け)会計事務所を選ぶポイント

(未経験者向け)会計事務所を選ぶポイント

 

会計事務所はどうやって選べば良いの?

今回は「会計事務所の選び方」についてお話をさせていただきます。

主に税理士業界で働いたことがない未経験の方に参考になるような内容をお伝えします。

大事なテーマなのでいつもより長い記事になりますが、お付き合いください。

私自身も会計事務所に初めて就職しようとしたときは、正直どういった観点から事務所を選んでよいのかわかりませんでした。

専門学校が発行する求人雑誌などを見ながら履歴書を送りまくったのですが、ハッキリ言って「運」です(笑)

そして初めて就職した税理士事務所は運に見放されました・・・・。

そこでこれから業界に就職しようとする人が運任せにならないよう、一般的な会計事務所選びに役立つ情報を書かせてもらいます。

まず知っていただきたいことは、同じ「税理士」という仕事でも実際に働いてみると、事務所によって全然異なるということです。

事務所によっては相続税に特化しているところや、上場企業の税務を中心に行っているところ、国際税務を中心に行っているところなど、明らかに特徴のある事務所があります。

こういった事務所はHPや求人媒体を見ればその旨が明記されています。

そういった意味ではわかりやすいかもしれません。

わかりにくいのが「普通の会計事務所」です。

中小企業をターゲットにして法人税や所得税をメインとする事務所は、パッと見たところ違いがわかりにくいのです。

そこで会計事務所を選ぶ際の3つの着目点をお伝えします。

①     自分が成長できる環境があるか
②     雰囲気が良いか
③     待遇は良いか

この3つの視点から事務所を分析すれば、働きやすい事務所かどうかが見えてきます。

ここは大事なところですので、いろいろな事務所の例なども交えながら掘り下げて考えてみましょう。

ポイント① 自分が成長できる事務所か?

まず「①自分が成長できる環境があるか」についてです。

実は「どこの事務所に入ってもいずれは担当者として仕事を任され、社長と話ができる」というのは間違いです。

未経験の方にはイメージが付きにくいかもしれませんが、「担当者」というのは、クライアントの社長と話をしていろいろな相談に乗る仕事のことで、いわゆる「税理士」としての仕事です。(注:税理士法で税務相談は税理士有資格者に限られるとされています)

事務所によっては社長との折衝は全て所長税理士が行うところや、又はベテランの番頭さん的な職員しかできない、というところが珍しくありません。

特に従業員規模5人程度の小さな事務所ではその傾向が強いようです。

従業員規模5人程度の事務所は数で言うと一番多い規模の事務所です。

つまり入社する可能性が高い事務所でもあるのです。

こういった事務所に入社すると数年間ひたすら社内で書類整理などの雑用をしたり会計ソフトへデータ入力を続けることもあります。

なぜなら5人未満の規模の事務所は、所長税理士が全てのクライアントに目が届くため社長との折衝を別の人に任せる必要がありません。

また先輩が退職しない限り新しい仕事が生まれないという現実もあります。

業界未経験の方がとりあえず業界経験を積む、という点では意味があるかもしれませんが、これが数年も続くともはや自分の成長に繋がることもなくなります。

ミスマッチを起こさないためには、面接のときに「入社後に担当者になるとしたら、どういったスキルが必要で、どれくらいの期間がかかるのでしょうか?」と聞いてみるのが良いでしょう。

前向きな質問ですし、面接官も嫌な気がしない質問です。

従業員規模が5人から30人くらいの事務所になると、担当者として社長と話す仕事を任される事務所が多いです。

この規模の事務所は所長税理士1人ではすべてのクライアントの業務を担当するのは不可能になりますし、また職員の入れ替わりも多くなるため、担当先が廻ってきやすくなります。

ただ、この規模の事務所は多くのところで「教育システム」がありません。

なぜなら「教育システム」を作る余裕がないからです。

一般的な30人までの事務所では、全従業員のだいたい半分強が「担当者」で、残りの半分弱が「内勤のアシスタント」です。

教育システムを作るとなると、この「担当者」が自分の仕事をこなした上で、余った時間を活用して作ることになるのですが、その余裕はなかなかありません。

そもそも「事務所のために教育システムを作ろう」というような意識が高い従業員ですから、当然任される担当先も多くなります。

自分の仕事で手一杯になりがちなのです。

先輩が忙しくて、あまり教えてくれないという事務所もよくあります。

この規模の事務所からの転職者から聞くと、「社内で質問をするような雰囲気がなかった」、「シーンとしてて質問内容をみんなが聞いてるので聞きづらかった」という声をよく耳にします。

結果的に「先輩の過去の仕事を見て真似をする」や「自分で調べる」という方法を取らざるをえないことになります。

具体的には前任者が昨年行った決算の記録を見てそれを真似して決算をしたり、わからないことは本を読んだりネットで検索したりして自分で調べるという感じです。

私自身、前職はこの規模の事務所にいたのでよくわかるのですが、事務所全体に「教える」という文化がありませんでした。

先輩も新人のときは当時の先輩から教えてもらうことなく、先輩の真似をしたり自分で調べて成長をしてるので、それが正しいやり方と思っているからです。

でもこのやり方は成長スピードが遅いのです。

たとえば、銀行融資の相談を社長から受けたりしても、そういった内容は本にも書いてませんし調べることもできません。

節税や税務調査も同じです。

結局、自分で経験をしたことしか身に付かないので、おのずと成長スピードは遅くなります。

従業員数が50人を超える規模の事務所になると、各社独自の教育体制を整えている可能性が高いです。

この規模になると社内で「分業」をする余裕が出てくるため、教育に力をいれる「教育担当」の社員や、専門的な税務判断を引き受ける「審理担当」などのポジションが生まれてくるからです。

また人数が増えてくればサービスレベルや税務レベルを一定に保てているかを所長税理士が直接確認することができなくなるため、必然的に教育に力を入れることになります。

どういった教育システムがあるのかは、面接のときに聞いてみると良いでしょう。

あと、自己成長という視点で大事なのが「税理士試験の勉強ができるかどうか?」です。

税理士資格は自分にとっては大きな自己成長ですし、将来独立を考えている人にとっては非常に重要なポイントでしょう。

「税理士試験の勉強ができるかどうか」はズバリ「どれだけ残業が多いか」と「試験休みは取れるか」にかかってきます。

「残業が多いか、少ないか」は事務所ごとにバラバラです。

毎日終電という事務所もありますし、逆に毎日定時帰りという事務所もあります。

「大手事務所や急成長事務所は忙しい」という都市伝説を耳にしますが、それも必ずしも事実ではありません。

忙しさは「仕事量」と「従業員数」のバランスで決まります。

大手事務所や急成長事務所は従業員を先行投資的にゆとりを持って採用する傾向があります。

急な仕事や増えるクライアントに対応するためです。

大手だから忙しいや急成長してるから忙しいというイメージは捨てて、実際に「残業はどれくらいありますか?」と質問するのが良いでしょう。

ちなみに「BIG4」と言われる監査法人系の税理士事務所は少し特殊です。

「BIG4」とは世界的に展開する4つの大規模な会計事務所グループのことで、日本では主に上場企業や外資系企業の会計を監査する監査法人を指します。

この監査法人は各社税理士法人を持っています。

・アーンスト&ヤング(系列税理士法人はEY税理士法人)

・プライスウォーターハウスクーパーズ(系列税理士法人は税理士法人プライスウォーターハウスクーパーズ)

・デロイトトウシュトーマツ(系列税理士法人は税理士法人トーマツ)

・KPMG(系列税理士法人はKPMG税理士法人)

この4つを指して「BIG4」と言います。

BIG4系列の税理士法人からの転職者に聞くと、仕事の忙しいときと暇なときの差が非常に激しいそうです。

1月から5月までは物凄く忙しい。

上場企業が3月決算の会社が多いからです。

この時期は毎日終電、場合よっては泊まり込むこともあるそうです。

でも逆にそれ以外はかなりのんびり。

試験休みはMAX1ヶ月取ることもできるそうです。

仕事内容は上場企業や外資系企業の税務申告が中心になるため、節税や融資といった中小企業で必要になるスキルは身に付きません。

そのかわり財務諸表論に基づいたキッチリした会計のルールは身に付きます。

社内の研修制度も充実しているそうです。

さてここまで長くなりましたが、どういった事務所に入れば自分が成長できるかをお伝えしました。

 

PAK82_gannbattekudasai1039500

ポイント② 雰囲気が良い事務所か?

つぎは「②雰囲気が良いか」についてです。

これは所長税理士の性格や、社風と合うか合わないかなので、正直入社するまでなかなかわかりません。

とはいえ、どんな雰囲気かを知るポイントはあります。

一番のポイントは「離職率」です。

離職率が高い事務所はやはり何らかの原因があります。

離職率には適正な離職率があり、年間で10%程度の離職が適正と言われています。

独立をする人や試験に専念したい人などがいるため、0%というのは非現実的だからです。

ただし離職率が年間で30%以上になっているとなると、何か原因があって事務所内の雰囲気が悪いことが考えられます。

事務所内に愛人がいるとか、差し入れのお菓子を先輩より先に食べて激怒されたとか、いろいろ「びっくりエピソード」が絶えないのも税理士業界のあるある話です。

転職者が数人集まるとこういった「業界あるある」で盛り上がったりします(笑)。

税理士事務所というのは良かれ悪かれ所長税理士の色が反映されやすいのが現状です。

おかしな慣習やルールがあると、自然と社内の雰囲気は悪くなり、働く従業員からすれば「数年我慢して転職しよう」という気持ちになるのです。

規模の面から考えると、やはり30人くらいまでの個人の事務所では所長税理士の特色が強く反映されがちです。

中には所長税理士がアットホームで非常に働きやすい環境を作っている事務所もあるのも事実ですので、決して悪いことと言う気はありません。

それに対して税理士法人になると、最低でも2人以上の税理士が運営責任者になりますので、所長税理士の色は薄くなります。

会社らしくなるとも言えます。

そのぶん、所長税理士との距離は遠くなってしまうので、どちらが自分に合っているかは、あなた次第と言えます。

さて規模の大きい事務所では「会社説明会」を実施しているところがあります。

ここも事務所の雰囲気を知る良いタイミングです。

会社説明会のときは幹部の人だけではなく、ぜひ普通のスタッフに話しかけてみてください。

本当の雰囲気がわかるはずです。

スタッフ数人と話せば社風もわかりますし、幹部には聞きにくいような突っ込んだ話も質問できます。

 ポイント③ 待遇の良い事務所か?

最後は「③待遇が良いか」です。

待遇の中でもまず気になるのは、やはり「給与面」でしょう。

税理士業界の悪しき慣習のひとつが「給料水準が低い」と言うことです。

税理士業界はもともと職人の業界です。

所長税理士の中には、税理士事務所に勤務することを「勉強させてやっている」と考える人が今でも少なくありません。

また最近は顧問先の減少や顧問料単価の下落で、給料を上げてあげたくても上げられないという事務所も増えています。

しかし給料は働く側からすれば非常に重要な要素。

給料が安すぎて、将来が見えないようでは働き続けることができません。

結婚して子供を育てて老後の蓄えを残すことが想像できない給料水準では、転職するか独立をせざるをえない状況になります。

初任給や昇給時期、昇給幅、上限などはしっかりと確認すべきです。

一般的には規模の小さい事務所は給料水準が低く、規模が大きくなるにつれて良くなる傾向があるのは事実です。

これは売上の中から人件費に廻せる比率(労働分配率と言います)が、規模が大きくなるほど高くできるからです。

たとえば年商が1000万の税理士事務所は労働分配率が50%とすると、人件費を引いた利益は500万です。

これが年商10億円の税理士事務所になると、労働分配率を60%まで引き上げたとしても、人件費を引いた利益は4億円残ります。

規模が大きくなると地代家賃や消耗品費などの固定費も上がりますが、売上に比例して多くなるわけではありません。

税理士事務所の最大の経費はなんといっても人件費です。

先ほど話題に上がった「BIG4」系列の税理士法人は、給料面が高いことで有名です。

*・。*・。*・。*・。*・。*・。*・。*・。*・。*・。*・。*・。*・。*・。*・

ちなみにベンチャーサポート税理士法人では経験者で初任給が25万~35万、未経験者で20万~23万。

その後、普通の会計担当者としては月給1万~10万円の幅で毎年昇給し、月給70万まで昇給します。

さらに事務所の運営側(支店長や支店幹部)にまわって活躍できれば年収1000万を超えるようになります

*・。*・。*・。*・。*・。*・。*・。*・。*・。*・。*・。*・。*・。*・。*・

給料以外で就職のときに注意したい待遇面のポイントは、有給休暇の取得ができるかという点です。

先ほども話に上がりましたが、税理士試験を受験する人は試験日はもちろん数日前から勉強に専念したい人が多いでしょう。

事務所によっては有給休暇がない(本当は労働基準法的にはアウトなのですが・・)事務所や、あっても病欠以外では取りにくい雰囲気があるというところがあります。

そうなると有給を使える事務所で働く人より不利になりますし、なにより焦って気になり仕事に集中できないです。

試験休みだけではなく、たまの旅行など気兼ねなく有給を取って気分転換をして、メリハリのある仕事をしましょう。

他にもフレックスタイム制度など大手事務所には特色のある福利厚生があります。

専門学校に通って試験勉強をする人にはありがたい制度ですので、こういった制度が用意されているかも質問してみてください。

 

さて今回は、業界未経験の方がはじめて会計事務所を選ぶときに

どういう視点で会計事務所を選ぶべきかについて詳しく説明しました。

ただ、良い会計事務所を見つけても、採用選考に通らなければ意味がありません。

会計事務所未経験者の採用については、企業側からの視点を詳しく説明した

とても参考になる記事がありますのでぜひご覧ください。

(参考:未経験者が会計事務所に入社して活躍するためには!?

最後にベンチャーサポート税理士法人について。

ベンチャーサポート税理士法人も集客に力を入れる成長中の事務所です。

一緒に働ける人を大募集してます。

どんな教育システムを持ってるのか、働きながら試験勉強をする人はどれくらいいるのか、社内の雰囲気はどうか?

ぜひ問い合わせてください。定期的に会社説明会も行ってますし、面接も随時行っています。

本当のベンチャーサポート税理士法人を知ったうえで、一緒に働く決心をしてもらえたら最高です。

ではお会いできる日を楽しみにしてます。

 

まとめ

会計事務所は事務所によって全然異なっている。
相続税特化や海外税務特化といったわかりやすい特徴を持っている事務所でなければ、3つの視点からの分析が役に立つ。

①    自分が成長できる事務所か
②    雰囲気が良い事務所か
③    待遇は良いか

この3つの視点をHPから読み解くのがポイント。
この視点を持って、会社説明会や面接でいろんな事務所を実際に見てください。

************************************************************

>>>この記事を読んだ方は以下の記事を読んでます!

・規模別に分類!「会計事務所の特徴」

・就職してはいけない会計事務所 “5つの見分け方”

・税理士試験合格者対談!「働きながら短期間で5科目合格する秘密」

 

この記事を書いた人

ベンチャーサポート税理士法人 森 健太郎
ベンチャーサポート税理士法人 森 健太郎
税理士/大阪オフィス代表
神戸大学 経営学部 市場システム学科卒業
大学卒業後、某電機メーカーに就職し営業に配属。初年度新人ランキング2位の成績を上げて表彰される。ところが、営業という仕事への葛藤から転職を決意し税理士の世界へ。複数の税理士事務所を経てベンチャーサポート税理士法人に入社。現在は取締役に就任し、主に集客や求人、人事などに従事している。

ベンチャーサポート税理士法人の求人情報はこちら!
https://vs-group.jp/zei/recruit/