規模で分類!会計事務所の特徴を知ろう!

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あなたに合った会計事務所はどの規模?

こんにちは、ベンチャーサポート税理士法人の代表税理士の中村真一郎です。

会計事務所を規模に分けて分析してみました。

大きく分けて7つに分けられると思います。

最後の8は付け足しておいた方がわかりやすいと思って入れました。

それぞれ特徴がありますのでまとめてみます。

1.      零細会計事務所(スタッフ5名以下)

2.      小会計事務所(スタッフ6名~15名)

3.      中堅会計事務所(スタッフ15名~40名)

4.      組織化会計事務所(スタッフ40名~100名)

5.      大規模会計事務所(スタッフ100名超)

6.      四大税理士法人(いわゆるBIG4)

7.      専門特化型会計事務所(相続、医療など)

8.      急成長会計事務所(創業者が40歳以下の新興勢力)

就職をするときに規模が違うと何が違うのかという一般的な傾向を知っておくのは重要です。

また転職を考える際も、今の事務所の状況がどういうものなのかを知っておけば次の事務所選びに役立ちます。

それでは詳しく見ていきましょう。

1.零細会計事務所(スタッフ5名以下)

この零細会計事務所がおそらく全体の9割を占めているのではないかと思います。

自分の家の周りを歩いていても1つ2つはありますよね。自宅っぽいところに「○○会計士事務所」と名字で看板を掲げているところが。

・  社会保険加入はほぼ皆無、労働保険すら入っていないところがある

・  所長の奥さんや親族が手伝いとして社内にいる

・  給与は業界水準と比べてもかなり低い

・  クライアント対応は所長しかしないことが多い

・  教育制度はない

特徴を並べるとネガティブなことばかりが並んでしまいました。

私も1件目の就職でお世話になったのはこういう事務所でした。

顧客の数は概ね30社~60社ほどです。

そうするとほとんど全てのクライアント対応、決算を所長が自らやるということになります。

ここに入社した人の一番のネックは顧客対応や決算の肝である重要な部分は自分がタッチできず、良質な経験が積めないというところになります。

その上、家族経営なため給料が上がることも見込めません。

未経験で就職先がなかった場合にこのタイプの会計事務所に入社した人は2年を上限に転職を考える方がよいでしょう。

例外もあります。それは所長が高齢な場合です。

高齢でもう体力的にも働けないため、全ての業務をまかされる場合があります。

その場合、事務所経営にまつわる全てのことを経験できる可能性があります。

またこのパターンは残業など多くなくのんびりしている場合が多いので、試験勉強との両立も可能となります。

 2.小会計事務所(スタッフ6名~15名)

家族経営は脱し、小規模なオフィスビルに事務所を構えていることが多いです。

所長の年齢によって特徴も変わってきますが、概ね以下のような傾向にあります。

・  社会保険未加入は多いが、労働保険に入っていないところはない

・  所長は職人タイプが多く、事務所の全てを把握していたい

・  零細と違って自分で担当クライアントを持てる

・  社内マネジメント能力が必要な規模だが所長のその能力は低い

・  所長はスタッフに仕事を任せきることが苦手

・  所長の愛人と目される秘書のような人がいることがある

所長が40代までで若い場合、この規模の事務所は中堅事務所と並んで就職先として人気があることが多いです。

これからの成長が期待できるためでしょう。

確かに、この時期にその後大規模事務所になるような会計事務所に就職できれば、将来の幹部クラスも見えてきます。

ただし、所長が若いパターンのこの規模の事務所の仕事は最もハード、試験勉強との両立はほぼ不可能と考えておいた方がいいです。

成長意欲が高いため、成長への投資もしている以上人件費率を抑えて行かないといけないわけです。

そうすると自ずと残業が増えます。

試験は終わって実務をバリバリ学びたいという人には実力を付けるのにはありだと思います。

所長が高齢の場合のこの規模の事務所は比較的安定しています。

人間関係に悩むことは請け合いですが、急かされることなく仕事を覚えて行けるでしょう。

ただし、若い人は将来を考えて3.4年でキャリアアップの転職することを考えておいた方がいいでしょう。

3.中堅会計事務所(スタッフ15名~40名)

少しきれいなオフィスビルに入れるようになり、エントランスや内装が少し豪華になる頃です。

このクラスにくれば業界でも5%に入る規模くらいになっていますので所長は「俺は成功した。才能がある」と思っていることが多いです。

・  いよいよ社会保険完備

・  半分くらいは税理士法人にしている

・  仕事任され、自分でクライアントを持てる

・  新卒、未経験を採用し始める

・  給与水準は業界平均を上回り、人のレベルも低くない

・  社内に創業期からいる重鎮スタッフがいることが多く雰囲気に大きく影響する

・  所長が働かずに平日ゴルフにいき始める

何らかのマーケティングや集客経路により拡大に成功した事務所になります。

必ず特徴的な強みを持っているからこそこの規模になっています。

まず、それが何なのかを知ることが大事です。

即戦力経験者は常に求めているものの資格者には警戒を抱きます(独立してお客様を持っていかれる不安のため)。

社内で組織化が進む時期ですが、ここが苦手なのが会計事務所経営者の特徴であるため、例に漏れず苦労しています。

典型的な例は創業時からいる高齢スタッフと、拡大した後に採用したより能力の高いスタッフとの軋轢です。

先生は創業期を支えてくれた古株を大事にする傾向にあり、優秀なスタッフの不満を招き社内の雰囲気は悪化します。

こういう場合、上は残り続け下は激しく入れ替わるという事務所になるため、見分けるにはスタッフの年齢構成を見てみましょう。

この規模の会計事務所のよいところは様々な業種のクライアントがあるため、多様な経験を積むことが可能です。

自分の意欲次第で良質な経験が積める可能性は高いです。

さらに若い所長の場合、組織化事務所、大規模事務所を目指している優秀な方の可能性は高く、その所長とともに組織の成長を体験することも出来るかもしれません。

その場合、自分の時間はなく勉強との両立は難しいでしょうけれど・・

4.組織化会計事務所(スタッフ40名~100名)

この規模の会計事務所は全国にもそれほど多いわけではありません。

地方都市なら最大規模の可能性が高いです。

創業も古く、二代目、三代目が代表というケースも多いのが特徴です。

・  福利厚生は一般企業並みに揃っている

・  新卒採用を毎年行っている

・  税目に偏りなく、法人・個人・相続とオールマイティにやっている

・  税理士法人であることが当たり前

・  組織は成熟しており安定している反面、変化に乏しい

・  給料はその地方の一般企業並み

・  創業者は地元の名士であることが多い

・  二代目は都会の大手税理士法人から戻ってきて難しい言葉を振りかざす

私の伯父は地方の最大規模事務所で40年働いているので、このタイプの事務所の特徴はよく掴んでいるつもりです。

最後に説明する急成長事務所以外のこの規模の会計事務所はもはや一般企業と言っていいでしょう。

普通に4月に新卒で新入社員が入社してきて、退職の年齢が決まっていて、昇給も定期的にしていきます。

安定を求めている人には向いていると言えます。

中堅事務所以下については体系化された教育制度というものが存在しないことがほとんどですが、このクラスになると教育についても体系化されていることが多いため着実に経験を積んでいけます。

また法人顧問、個人事業、相続と多岐にわたる仕事をしているため、幅広い知識を付けることが出来るでしょう。

問題は組織が成熟しすぎているところです。

この規模の事務所の多くは高度成長期に拡大しており、社歴も30年を超えています。

所長は世襲で二代目や三代目となっているところも多いでしょう。

そうなると組織は硬直化してくるのは自明の理です。

昇給、昇進は年功序列。新しい意見は通りにくい。出る杭は打たれる。そんな文化であることは覚悟しておきましょう。

ただし、残業時間の管理などもしっかりなされているため勉強との両立は可能です。

このタイプの事務所に就職する場合は一生働く覚悟で入社することが必要かもしれません。

5.大規模会計事務所(スタッフ100名超)

この規模になるともはや日本に数えるほどしかありません。

200人を超えている会計事務所は全国に3.4つしかないと言われています。

100人超でも両手両足の指くらいしかないのかもしれません。

・  当然福利厚生は一般企業並みに揃っている

・  全国に支店を持っているところが多い

・  教育研修制度が充実している

・  人材輩出の役割も担っており独立に寛容

・  給与は業界平均より大分高い水準

・  創業者が個性的である

・  M&Aを使って成長しているところもある

私は立場上この規模の創業者の方のほぼ全員と対談や会食でご一緒させてもらっています。

そのときにいつも感じることは、これだけの組織を作る人は個性的で優秀だなということです。

これは組織化会計事務所以下の所長と会ったときと明らかに違う印象です。

高度成長期、バブル期などにビジネスチャンスを嗅ぎ付ける能力に秀でていた方が一代でこの規模の事務所を作っていることがほとんどで、今も衰えない意欲でまだ拡大を続けているところが多いです。

拡大を続けているため、地方の名士的な事務所と違い経験者を求めていることも特徴の一つです。

新卒採用だけでなく、バランスよく経験者の募集もしているため零細、小規模、中堅事務所で経験した人のステップアップのための就職としても人気があります。

拡大するにはスタッフの質が重要となるため、人材育成に力を入れる必要があり教育体制も確立されています。

未経験で入社すれば体系的に一通りのことが学べるようにもなっています。

問題は後継者問題をどこも抱えているという点でしょうか。

創業者が個性的で優秀であるが故に、ここの問題を避けて通れないところも一般企業と同じです。

ソフトバンクやユニクロが後継者のイメージが付きにくいのと同じです。

ここについてはこれから10年~20年のうちにその行く末が見えると思います。

税理士法人の巨大化は是か非か。その答えは今はまだわかりません。

6.四大税理士法人(いわゆるBIG4)

BIG4とは、世界的に展開する4つの大規模な会計事務所グループのことで、日本では主に上場企業や外資系企業の会計を監査する監査法人を指します。

この監査法人が各社税理士法人を併設しているんですが、これを四大税理士法人と呼びます。

・  上場企業並みの福利厚生あり

・  税理士有資格者、最低3科目合格者を求める

・  忙しさに大きな季節変動あり

・  社内の教育研修制度は充実している

・  クライアントの規模が大きいため中小企業税務の経験が出来ない

・  会計には詳しく、税務には弱い人材が作られる

四大税理士法人の出身者は知り合いにもいますし、うちのスタッフでも出身者はいます。

最初に就職するときに、何となくかっこいいと理由で選んでいる人が多いんですよね。

四大税理士法人で一生働いて、昇進していくことを決めている人はいいと思うのですが、ほとんどの税理士のクライアントである中小企業経営者の相談に乗っていける税理士になるためにはここでの経験はほとんど役に立たないでしょう。

また上場企業は3月決算法人がほとんどなため、忙しい時期は寝ずにやるくらいの忙しさがあります。

ただしそれ以外はゆっくり仕事ができるため、試験休みなども長く取れるのはいいところです。

私見では、この四大税理士法人を就職先に選ぶのは、将来も規模の大きな企業の税務・監査しかしないと決めている人以外にはおススメ出来ません。

中小企業の税務やコンサルティングとは視点が180度違います。

7.専門特化型事務所(相続、医療など)

時代の流れに応じて、医療や不動産管理会社など一つの分野に絞った専門特化型事務所が存在します。

最近では相続税特化事務所が増えてきていて、競争も激しいものがあります。

・  福利厚生は中堅事務所並みであることが多い

・  新卒採用はほぼなく、教育する余裕はないため経験者を求める

・  利益率は高いので給料は業界平均より高い

・  組織として大きいわけではないので常に忙しく試験勉強との両立は難しい

・  離職率は高い

求職者からすると手に職をつけるではないですが、専門分野の知識を付けることは魅力的らしく人気が高いです。

確かに5年もこういう特化事務所にいれば、かなりの知識を得ることは可能だと思います。

自分も将来専門特化事務所を構える!というつもりならこういった事務所に就職するのはありだと思います。

一方でこのタイプの事務所は常に忙しく、人を育てる余裕もなく、会社の雰囲気は悪いことが多いです。

面接に言ったら離職率はどれくらいか聞いてみて下さい。本当のことを答えるとは思えませんが。

8.急成長会計事務所(創業者が40歳以下の新興勢力)

規模別に分けて説明するのの範囲外として、全ての規模の中に急成長事務所というところがあります。

所長は40歳以下、税理士という感覚以上に経営者の感覚を持っている人が多いのが特徴です。

・  福利厚生は規模に応じてバラバラで小さいところはほぼない

・  成長を目標としているため残業は多く試験勉強との両立が難しい

・  お客様が常に増えているためいつも人手不足

・  教育が追いつかないため経験者を求める

・  お客様が増えていることから給与は業界平均より高い

・  平均年齢が若いため、同僚と切磋琢磨できる空気がある

・  雰囲気はベンチャー企業のようで、人間関係での悩みは少ない

私自身がまさにここに当てはまり、かつ先ほどの5の大規模事務所にも当てはまります。

友人の独立している若手税理士たちはみんなここに当てはまり、なおかつ2~4にも当てはまる人が多いため、私以上にここの知識をもっている人間はいないかもしれません。

急成長会計事務所に向く人は、早く実務能力を高めたい人です。

クライアントがどんどん増えているため、仕事は社内にいくらでも転がっています。

やる気があれば、様々な業種の決算をたくさん組む経験ができ、社長対応も早い段階で任されるため、のんびりした会計事務所で経験するよりもはるかに早く成長できます。

社内の雰囲気はベンチャー企業のような空気であることが多いです。

古い体制ではないため、意見を出せば採用されて自分で会社を動かしている感覚が持てるのもこのタイプの会計事務所の特徴です。

一方、忙しさは間違いなくあるため、残業は多く試験勉強との両立は困難です。

試験勉強を優先させたい人は避けた方がいいでしょう。

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私が作ったベンチャーサポート税理士法人はまさにこの急成長事務所で、200人規模ですから大規模事務所に当たります。

創業から11年を経過しましたが、当初10年はまさにベンチャー企業。

残業もあるし、忙しさは他の事務所の倍くらいだったかもしれません。

試験勉強と両立できたのは2.3名だった・・

ただ規模が大きくなったことで余裕もでき、現在は仕事の量より質を重視することに転換し、残業は規制して勉強両立も可能となりました。

教育研修システムを確立することで未経験者を受け入れて育てることもやっています。

今のベンチャーサポートは、未経験から入って中小企業顧問税務のレベルアップを図ることもできますし、経験者が自分の得意分野を活かして活躍の場を創っていくこともできます、と宣伝しておきます。

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長々と規模別会計事務所の特徴を書いてみました。

ご自分が就職先を決めるとき、まずこの分類を知っておくことは有益だと思います。

今、自分は何を目指しているのか?

試験優先なのか、まずは実務能力をつけたいのか、給料が高いところがいいのか、特殊な税務がやりたいのか・・まずはそこをしっかり決めることが大事です。

その上で、上記1~8までのどこが自分にフィットするのかを考えてみて下さい。

そして大事なことを最後に。

入社して1.2ヶ月経って、これは思っていたのと違うと思ったらさっさと辞めるのも必要です。

試用期間というのはお互いにとってのお見合い期間です。

会計事務所は世の中にたくさんあります。

自分に合うところが必ずあります。

諦めずに自分にとっての理想の職場を見つけて下さい。

 

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・就職してはいけない会計事務所、5つの見分け方

・税理士合格者対談「働きながら短期間で5科目合格する秘密」

・会計事務所ってどういうポイントで選べばいいの?(未経験者向け)

<i></i>この記事を書いた人

ベンチャーサポート税理士法人 中村 真一郎
ベンチャーサポート税理士法人 中村 真一郎
税理士/総代表

昭和50年生まれ。愛媛県出身。

小学校から高校まで、地元愛媛で育つ。
18歳で大学進学のため、京都へ。
24歳のときに税理士資格を取得。

その後、梅田にある会計事務所に勤務。
外資系企業を担当し、会計業務だけでなく本国への実績レポートや銀行業務等をアウトソーシングで受託支援。
在職中はユニバーサル・スタジオ・ジャパンの日本進出にも携わる。

26歳のときに税理士登録後、転職し起業支援を行う会計事務所に入所。 多くの企業の会社設立、会計業務立ち上げを経験し、起業の大変さを肌で感じ、税理士の使命は中小企業経営者のよき理解者となり、共に発展していくことだと強く認識する。

2003年8月ベンチャーサポート総合会計事務所を設立。現在も変わらず「起業家を全面的にサポートする」ことを人生最大の使命と考えている。

趣味はサッカー観戦と競馬と読書。プレミアリーグ「アーセナル」のファンで毎年ロンドンへ通う。凱旋門賞を見るため毎年パリにも通いたいがそれは将来に。読書は幅広く何でも読む。特に歴史には詳しく「全ての答えは歴史の中にある」が持論。