税理士事務所の仕事内容 (4)記帳代行について

税理士事務所の仕事内容 (4)記帳代行について

 

新人が最初にする仕事「記帳代行」って何?

今回は業界未経験の方が入社すれば、どこの事務所でもまず取り組む「記帳代行」という仕事について少し詳しくご説明をします。

記帳代行というのは、簡単に言うとクライアントから預かった会計資料を整理して、その内容を会計ソフトへ入力する作業のことです。

(会計資料と言うのは、レシートや通帳のコピーやクレジットカードの明細や請求書などのことです。)

入所したばかりの新人は、いくら優秀な人であっても、又は税理士試験の科目合格者であっても、最初はみんな記帳代行からです。

正直、「地味」な仕事です。

ですが、これが税理士事務所の仕事の中でも大半を占める業務であり、税理士業務の基本中の基本なのです。

野球選手で例えるならば「素振り」のようなものです。

クライアントから1ヶ月分の会計資料が月初になると郵送されてきます。

封筒を開けるとレシートなどがドサッと入ってたりします。

まずはこのレシートなどの資料の整理からです。

向きを揃えたり紙に貼ったり穴を空けてファイリングをしたり。

整理が終われば会計ソフトへのデータ入力です。

「○月○日に○○電機で5万円のプリンターを買ったレシートか。じゃあ消耗品費に○月○日の日付で50,000と入力して・・・」と言った感じで一つ一つの取引を入力していきます。

この作業が地味に大変です。

最初は「何の勘定科目で処理をしたらいいのか?」がわかりません。

さらに見慣れない請求書などが入ってると、どの金額を入力していいのかわかりません。

車を売却した取引などイレギュラーな取引をどう入力していいのかわかりません。

海外取引などが混じってたら更にわかりません。

もうわからないことだらけです!

これを一瞬で正しい判断ができるようになるまで、訓練を続けるのが仕事の基本です。

私自身、新人のときは半年間ほど毎日ずっとこの作業をしました。

しかし、この会計ソフトの入力と言うのは、ものすごく奥が深い作業です。

正確性とスピードが両方求められます。

万一ミスをしてしまってそれがチェックをすり抜けてしまうと、そのまま決算に組み込まれてしまいます。

そうすると税金を納めすぎになったり、逆に納め漏れになったりするのです。

税金の納め漏れは、だいたい税務調査で判明します。

税務調査というのは、税務署が数年に一回、会社の経理が適正かどうかを監査しにくることです。

このときに、自分の入力ミスでクライアントに追加の税金を納めてもらうことになることほど、会計人として恥ずかしいことはありません。

当然クライアントの信頼も一気に失います。

それだけ日々の仕事が真剣勝負だということを意識すべきです。

またスピードが遅いとドンドン仕事が溜まっていき、先輩の担当者に迷惑を掛けることになります。

特に申告月に近くなると申告期限が迫ってきますので、のんびり作業をしていては申告期限に間に合わなくなります。

また銀行融資を受けるために急ぎで処理をしないといけないときなどもあります。

正確かつスピーディーに処理ができるようになるのは大変です。

でも、楽しいこともたくさんあります。

今まで学校で習っていた知識が現場でこのように活きるのか、というのを理解できたときは嬉しくなります。

また数字がピタッと合ったときの快感は会計人ならみんなが持っている体験です。

単純作業の中にも学びはたくさんあります。

楽しみながら頑張っていきましょう!

 

まとめ

記帳代行は全ての人が通る道であり、最初の試練です。
単純作業と思うか、学びの場と考えて楽しめるかはあなた次第。税理士業務の基本なので、しっかり身に付けてください。

なお、簿記の知識を活かして記帳代行をマスターすることは、正社員ではなくパート・アルバイトで働きながらでも可能です。
記帳代行の次のステップである決算書の作成、申告書の作成までスキルアップしていけば、全国どの会計事務所でも重宝される「手に職」がつきますので、その意味でも記帳代行をマスターする意味は大きいでしょう。

会計事務所のパート採用については、税理士事務所の主婦パート・学生アルバイトの時給・仕事内容・応募資格の記事に詳しく書いていますのでぜひ参考にしてみてください。

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この記事を書いた人

ベンチャーサポート税理士法人 森 健太郎
ベンチャーサポート税理士法人 森 健太郎
税理士/大阪オフィス代表
神戸大学 経営学部 市場システム学科卒業
大学卒業後、某電機メーカーに就職し営業に配属。初年度新人ランキング2位の成績を上げて表彰される。ところが、営業という仕事への葛藤から転職を決意し税理士の世界へ。複数の税理士事務所を経てベンチャーサポート税理士法人に入社。現在は取締役に就任し、主に集客や求人、人事などに従事している。

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